作中における三原則の目的として、ロボットが人間側の意図に逆らって制御不能に陥るのを防止する事があった訳であるが、『われはロボット』で描かれている様に、初期のロボットにおいては三原則に従っているにも関わらず、或いはむしろ三原則に従っているからこそ、人間側の意図に反した行動を取ってしまう様なケースがしばしば発生した。さらに二者の利益が相反したり矛盾した命令を受けた場合などに、ロボットの思考が袋小路に陥って機能停止する事態が発生し、その回避のための頭脳回路の修正も急務であった。この為にロボットの行動と三原則との関係を研究する「ロボット心理学」という派生分野が生まれる事となる。その偉大な先駆者となったのが、U.S.ロボット社の初代主任ロボット心理学者、スーザン・カルヴィン女史である。
カルヴィンのロボット工学に対する貢献は多大な物があり、高価な玩具に過ぎなかった陽電子ロボットを真に実用的な道具に進歩せしめたのはひとえに彼女の業績であると言われている。そのために後世には彼女自身が三原則の考案者であるとして伝えられており、特に高度なロボット文明を築いたスペーサー・ワールドにおいてはもはやその名は神格化されており、彼女がスペーサーでなく地球人であったという事実を信じようとしない程である(『夜明けのロボット』)。
「人間」の定義 [編集]
三原則は機械であるロボットが遵守するにはあまりに抽象的であり、実用上は多くの問題を含むが(だからこそアシモフは「三原則の62語から無限のアイデアを汲み出し」得たのだろうが)、特に重要と思われるのが第一条と第二条で述べられる「人間」の定義である。
具体的な例では、複数の人間に危機が及んでいるとき誰を優先して救助するか、犯罪者や子供の命令にも無条件で従うのか、そもそも機械であるロボットがそうした判断を行う事自体が人権侵害に当たるのではないのか、などである。
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アシモフ自身も「ロボットに関する究極の結論」を求められた短編『心にかけられたる者』(『聖者の行進』所収)でこの問題に取り組んでおり、そもそも三原則を必要としないロボットの姿や、ロボット自らが考えるところの「三原則でもっとも優先されるべき人間」の定義が描かれている。また『バイセンテニアル・マン』(同)では、自ら人間になることを願ったロボットの姿を描き、人間とロボットとの境界線について論じている。
後年、『ロボットと帝国』ではこの問題が再び取り上げられている。R・ダニール・オリヴォーが「自分の頭脳には人間の外観や行動に関するデータがあり、それらと合致するかどうかで人間かどうか判断する」と述べるくだりがあり、またロボット自身の「人間」の定義や判断基準を歪めることで、三原則に抵触せずにロボットが人間を攻撃することも可能であることが示されている。こうした「人間」に関する考察は、後述の第零法則へと繋がっていく。